研究情報
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2025.01.31 水耕栽培でNaClをうまく使う
適度な塩水は、投入効率の高い「水耕栽培システム」で栽培された未熟なメロンの在来種を強化するのに効果的である
Moderate saline waters are effective to enhance a landrace of unripe melon cultivated in a ”water culture system” with high input efficiency
農業活動の目指すところは、より多く生産する一方で、生産投入物のより効率的な利用と生物多様性の損失減に焦点を当ててより少なく消費することである。灌漑用水の塩類化は、現代農業における収量減少の最も深刻な原因の1つである。これに基づき、実験実施の目的は、完全な栄養溶液(NS)再循環を備えた栄養膜技術(NFT)システムが、NS中のNaCl濃度の上昇による作物への悪影響を打ち消す効果的なシステムであるかどうかを研究することであった。未熟なメロンの在来種である「Scopatizzo」を春夏のサイクル下において、温室内でNSの密閉管理と3つのレベルのNaCl(0、2.5、5 mM)に設定したNFTシステムで栽培した。「Scopatizzo」植物は、植物あたり平均145 LのNSを吸収し、1日の摂取量は0.5〜0.8 L/plantから2 L/plant以上に増加し、全光積分(TLI)に線形に関連した。NaCl濃度が高いほど、NSの電気伝導率は上昇し、時間の経過とともに有意な差が認められた。水利用効率(WUE)と平均生産量はそれぞれ27.6 L/kgと5.31 kg/plantであり、NaClを含む果物は滴定酸度が高く、グルコースは低かった。NaClはガス交換を促進し、光合成速度、気孔コンダクタンス、および蒸散を増加させ、同時に電子輸送特性を変化させた。栽培システムとしてのNFTは、'Scopatizzo'の収量と果実の品質を損なうことなく、中程度の塩水を使用できることが証明され、キュウリ栽培の有効な選択肢となった。今後、どの濃度までのNaClであれば、キュウリの生産と生育に顕著なストレス症状が見られないかを検証するために、さらなる研究が必要である。
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(http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.scienta.2024.113599
Palmitessa Onofrio Davide , et al.
Scientia Horticulturae, 2024; 337
doi:10.1016/j.scienta.2024.113599

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