研究情報
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2024.05.31 塩感受性高血圧
MAPK経路を阻害すると、塩感受性高血圧によって誘発される駆出率が維持され、心不全が改善する
Inhibiting the MAPK pathway improves heart failure with preserved ejection fraction induced by salt-sensitive hypertension
収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)は心不全の約50%を占め高血圧はその原因の1つである。
MAPKシグナル伝達経路は心不全および高血圧と密接に関連している。
しかし、塩分感受性高血圧症に起因するHEpEFにおけるその機能はよく理解されていない。
本研究では、デオキシコルチコステロン酢酸塩(DOCA-salt)高血圧マウスを用いて、塩感受性高血圧誘発性HEpEFモデルを確立した。
塩分感受性高血圧症によるHEpEFに対するMAPK阻害剤(ドラマピモド)の影響を、血圧、経胸壁心エコー検査、走行距離、組織学的分析などのさまざまな指標で評価し、心機能に対する治療効果を判断した。
さらに、筋原性細胞に対する高塩分の影響もqRTPCRを用いてin vitroで評価した。
DOCA塩高血圧マウスのLV駆出率(LVEF)は50%を超えており、塩感受性高血圧誘発HFpEFモデルが成功したことが示された。
RNA-seqにより、HFpEFモデルではMAPKシグナル伝達経路が正常マウスと比較して上方制御されており、高血圧、走行距離の低下、心機能の制限、断面積と線維化面積の増加、GAL-3、LDHA、BNPなどの心不全バイオマーカーの上方制御が伴っていることが明らかになった。
Doramapimodの適用により、血圧、心筋肥大、心筋線維症を改善し、前述の心不全バイオマーカーを減少させる可能性がある。
qRTPCRはこれらの観察と同様の結果を示した。
我々の知見は、MAPK阻害剤(Doramapimod)の使用が塩分感受性高血圧誘発性HFpEFの潜在的な治療法である可能性を示唆する。
© 2023 The Author(s). Creative Commons Attribution 4.0 licence (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)
Li Shicheng, et al.
Biomedicine & Pharmacotherapy, 2024; 170: Null
DOI:10.1016/j.biopha.2023.115987

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