研究情報
Research information

研究情報

2024.07.31 食品科学-塩をゆっくり放出する油滴を作る
脂肪結晶「シェル」安定化油中水型エマルションからの塩化ナトリウムの放出に及ぼす加工条件の影響
Effects of processing conditions on the release of sodium chloride from fat crystal `shell’ stabilised water-in-oil emulsions
過去20年間において、油中水脂肪結晶安定化ピッカリングエマルジョンは、封入された(水溶性)物質種の制御可能な放出系として次第に研究されるようになってきた。ピッカリングエマルジョンにおける固有の安定性は、液滴の周囲に界面脂質の「殻」を形成するための焼結によって強化されることが示されており、これにより、保持力が向上し、封入された物質種の送達が延長される。本研究では、掻き取り式表面熱交換器/ピン攪拌装置を使用することで、脂質殻に封入された液滴を分散させたW/Oエマルジョンの製造に使用される処理条件が、それらに封入されたNaClのその後の放出に大きな影響を与えることを示した。ここで製造された最も性能の高いエマルジョン構造は、100日間にわたって初期塩負荷量の約98%を保持したことを報告する。NaCl放出プロファイルは、脂質殻を横切る塩の移動の界面速度定数を計算するためにも使用された。界面速度定数は5.5から3593.2×10~-3nm~2/sの範囲であり、同様のシステムの文献で報告されているものよりも著しく (最大 3 桁) 低かった。分析により、使用する特定の条件に応じて、処理環境が脂質殻の完全性を高めたり損なったりすることが明らかになった。全体として、本研究は、NaClの放出をうまく制御できる脂肪連続エマルジョン微細構造を製造するために必要な最適な処理要件に関して重要な方向性を提供し、塩味を抑制する食品処方の開発を成功させるための道を開いた。

© 2024 The Authors. Published by Elsevier Ltd on behalf of Institution of Chemical Engineers. Creative Commons CC-BY license(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
Watson R.L., et al.
Food and Bioproducts Processing, 2024; 144: 178-190
DOI:10.1016/j.fbp.2024.02.002

トピックス