研究情報
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2024.11.29 タンパク質の出来が悪いと高血圧に?
高血圧における小胞体ストレスと血圧の塩分感受性
Endoplasmic Reticulum Stress in Hypertension and Salt Sensitivity of Blood Pressure
Endoplasmic Reticulum Stress in Hypertension and Salt Sensitivity of Blood Pressure
レビューの目的:
高血圧は、心血管疾患の罹患率と死亡率の主要な危険因子であり、特に塩分感受性血圧の個人では、ナトリウムの摂取量が多いと重症度が悪化する。しかし、高血圧と塩分感受性の根底にあるメカニズムは部分的にしか理解されていない。ここでは、免疫系、小胞体(ER)ストレス、変性タンパク質応答(UPR)、およびプロテオスタシス経路が関与する高血圧病態生理学における潜在的な相互作用をレビューする。知識のギャップを特定し、そして将来の方向性について議論する。
最近の調査結果:
私たちの研究グループや他の研究グループによる最近の研究の進捗により、高血圧の病態生理学における適応免疫応答と自然免疫応答の相互作用が明らかになった。塩-免疫-高血圧の軸は、イソレブグランジン(IsoLG)形成によって特徴付けられ、高血圧における樹状細胞の役割の発見によってさらに支持されている。免疫介在性塩分感受性に関するこれらの広範な理解に加えて、Ang II注入に対してRag-1欠損マウスが耐性増加を示さなかった知見を持つグループによって、高血圧へのT細胞の寄与は最近疑問視されている。高血圧は小胞体ストレスやUPRとも関連付けられてきた。特に、UPRはオートファジー、ユビキチンプロテアソーム、およびその他のプロテオスタシス経路とのクロストークに関与しているため、全体的なアプローチが必要である。
まとめ:
ヒトの高血圧病態生理学における小胞体ストレスとUPRとの因果関係を確立し、免疫系と小胞体ストレス機序が主に高血圧と標的臓器損傷を悪化または惹起するかどうかを明らかにするための研究が極めて必要である。最近の研究に関するこのレビューは、標的治療介入に向けた将来の研究のための新たな道筋を提案するものである。
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(http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1007/s11906-024-01300-9
Balhara Maria , et al.
Current Hypertension Reports, 2024; 26(6):273-290
DOI:10.1007/s11906-024-01300-9
Current Hypertension Reports, 2024; 26(6):273-290
DOI:10.1007/s11906-024-01300-9