研究情報
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2024.11.29 塩を感じて伝えるヒト脳神経系
急性高ナトリウム血症はヒト脳のNaCl感知領域の機能的連結性を増加させる:fMRIパイロット研究
Acute hypernatremia increases functional connectivity of NaCl sensing regions in the human brain: An fMRI pilot study
げっ歯類の研究では、交感神経活動、アルギニンバソプレシン、喉の渇き、血圧の変化を伝達する、脳室周囲臓器の特殊な塩化ナトリウム(NaCl)感知ニューロンの存在が示されていた。しかし、ヒト脳でのNaClセンシングに関わる神経経路は、まだ完全には解明されていない。このパイロット研究の目的は、急性高ナトリウム血症が健康な若年成人の脳のNaCl感知領域の機能的接続性を変化させるかを判断することであった。ベースライン時と 30 分間の高張生理食塩水注入 (HSI) 中に 13 人の参加者から安静時 fMRI スキャンを取得した。関心領域(ROI)として脳弓下器官(SFO)と下丘脑终板血管区(OVLT)に焦点を当て、データを分析するためにシードに基づく解析アプローチを使用した。血液化学反応と知覚される喉の渇きは注入前と注入後に評価した。予想通り、HSI群では投与前から投与後にかけて血清ナトリウムが増加した。このパイロット研究の第一の発見は、SFO と OVLT 内のクラスターとの間の機能的接続性が、HSI のベースラインから後期にかけて増加したということであった。皮質領域では双方向の接続性の変化が見られ、ナトリウム感知領域との接続性の増加を示す領域もあれば、接続性の低下を示す領域もあった。さらに、SFO と後部帯状皮質(比較ROI)の間の機能的接続性 は、HSI のベースラインから後期まで変化しなかった。この知見は、ヒト脳のNaClセンシングネットワーク内で、特に急性高ナトリウム血症に関連する明確な応答を示しており、大規模な研究で再現する必要がある。
© 2024 The Authors. Published by Elsevier B.V. Creative Commons Attribution-NonCommercial 4.0 International
(https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/)
https://doi.org/10.1016/j.autneu.2024.103182
Stock Joseph M. , et al.
Autonomic Neuroscience: Basic and Clinical, 2024;254
DOI:10.1016/j.autneu.2024.103182

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