研究情報
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2024.12.27 根で知る耐塩性
塩ストレスはSorghum bicolor(L.)遺伝子型における根分裂組織定義,維管束分化およびメタボロームを変化させる
Salt stress alters root meristem definition, vascular differentiation and metabolome in Sorghum bicolor (L.) genotypes
耐塩性に関する知識は、特に農産食品に利害関係のある植物においてはさらなる調査が必要である。モロコシは高レベルの耐塩性と興味深い栄養特性を兼ね備えた新規の食品種であり、潜在的に有用な植物である。モロコシでは、遺伝子型によって塩ストレスに対する応答が異なり、塩ストレス耐性を特徴づける初期事象はまだ完全には解明されていない。さらには耐塩性である遺伝子型の数を増やす必要がある。遺伝子型ビアンカとトンカワは、高レベルの塩分濃度を特徴とする土壌でのモロコシ栽培拡大を可能とする2つの候補である。根は特に植物の成長の初期段階で土壌条件に反応する最初の器官である。当研究の目的は、根系発達の初期段階で起こる形態機能的および代謝的変化を特定するためにビアンカとトンカワの遺伝子型の塩ストレス(NaCl)に対する根系応答を分析すること、それらを異なる植物の塩に対する感受性を評価するための識別パラメータとして用いることであった。その結果、塩ストレスは種子の発芽から根系の確立までに多くの形態学的および細胞組織学的な根のパラメータに悪影響を及ぼすことが示された。塩は根の分裂組織と静止中心(QC)を変化させたが、両方の遺伝子型で同様であった。一方、ビアンカと比べてトンカワでは、一次根(PR)の長さが減少し、不定根(ARs)と側根原基(LRPs)においてより広範な酸化ストレスが誘発された。150mMのNaClで処理したトンカワの苗では、ARsの茎葉面積と原基および葉茎の数がビアンカに比べて減少した。さらに、トンカワに比べてビアンカでは、塩分によって、原基、初期中軸および内皮のリグニン沈着が促進し、根の代謝プロファイルの変化によりロイシン、イソロイシン、アラニン、プロリン、トリゴネリン、アラントインおよびグルタミンのレベルが有意に増加した。以上のことから、遺伝子型塩感受性を識別するマーカーとして遺伝子型間の特定の形態解剖学的および代謝上の差異が特定された。
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(http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.envexpbot.2024.105876
Peduzzi Alice , et al.
Environmental and Experimental Botany, 2024; 226
doi:10.1016/j.envexpbot.2024.105876

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