研究情報
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2024.12.27 岩塩中のマイクロプラスチックの存在と特徴
ボルネオ島北部の高地岩塩に含まれるマイクロプラスチックの評価
Assessment of microplastics in highland rock salts of Northern Borneo
サラワク州北東部の高地で生産される山岳塩は市場価値があり、地域社会に生活を支える収入をもたらしている。製塩の過程で、マイクロプラスチック(MPs)は様々な供給源から市販の食卓塩に混入する可能性があるが、これについてはまだ調査されていない。そこで、本研究では、サラワク州北東部の2つの異なる場所(L1とL2)の高地塩水から生産された岩塩中のMPsの存在を調査している。分析した塩水と岩塩のサンプルの中で、MPsが最も高濃度で検出されたのは塩サンプルであった。水と岩塩サンプルの両方で、1〜1000μmのサイズ範囲に存在するMPsが最も高濃度であることが明らかになった。塩と水の両サンプルで観察されたMPsの色は、透明が最も多く、次いで白、青、赤、黒の順であった。MPsの最も一般的な形状は繊維状で、水サンプルではほぼ47%、塩サンプルでは87%を占めている。ATR-FTIR分析調査によると、塩サンプルで観察されるポリマーはポリエチレン(PE)が最も多く、次いでポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)となっている。水サンプルでは、PPが最も優勢なポリマーで、PEとPSがそれに続く。SEM顕微鏡写真により、ファイバータイプのMPsは表面が滑らかで、フラグメントタイプのMPsはエッジが粗く、シートタイプのMPsは表面が層状になっている。EDX分析の結果、MPs中の元素は炭素(C)と酸素(O)が最も多く、次いでアルミニウム(Al)とナトリウム(Na)であることが明らかになった。この結果から、岩塩中のMPsは主に製塩のさまざまな段階から供給されていると推測される。この予備研究は、この地域の岩塩中のMPsの存在と特徴を明らかにするものである。この研究成果は、塩の品質を改善し、市場価値を高めるための持続可能な管理計画への後押しとなるであろう。
© 2024 The Authors. Published by Elsevier Ltd. Creative Commons CC-BY-NC-ND license
(https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.jenvman.2024.122207
Mohan Viswanathan Prasanna , et al.
Journal of Environmental Management,2024; 368
doi:10.1016/j.jenvman.2024.122207

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