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2024.12.27 放流魚を塩水に慣れさせる
ヒラメチョウザメ(Acipenser ruthenus)の塩分ストレスに及ぼすHSP誘導物質の影響:HSP発現,免疫応答及び抗酸化能に関するin vitro研究
The influence of HSP inducers on salinity stress in sterlet sturgeon (Acipenser ruthenus): In vitro study on HSP expression, immune responses, and antioxidant capacity
ヒートショックタンパク質(HSP)は、ストレス状態における抗酸化システム、免疫反応、酵素活性化に重要な役割を果たしている。塩分濃度の変化は、魚のストレスとエネルギー消費を引き起こし、特に稚魚では死に至ることがある。本研究の目的は、13‰の塩分濃度(S13)に曝露されたチョウザメ(Acipenser ruthenus)から単離された細胞へのPro-Tex®(800 mM)、アミグダリン(80 mM)、ピラノピラナゾール(80 μM)由来の新規合成化合物を含む様々なHSP誘導物質(HSPi)の効果を評価することにより、ストレスを受けた魚の塩分濃度とHSPsの関係を調べることであった。肝臓、腎臓、鰓の細胞を培養した後、HSPi化合物を塩分濃度の存在下と非存在下でin vitroで処理した。HSP27、HSP70、およびHSP90の発現パターンをウェスタンブロッティングで評価した。生化学的酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼ)、コルチゾールレベル、および免疫パラメータ(成分3、免疫グロブリンM、およびリゾチーム)をHSPisおよびHSPi+S13による処理の前後に測定した。これらの結果によると、HSPisはHSP発現、免疫反応、および抗酸化レベルを正に調節する。さらに、塩水条件下でA. ruthenusのコルチゾールレベルと生化学的酵素活性を維持することにより、in vitroでの細胞生存率を増加させた(P < 0.0001)。結論として、HSPisはA.ruthenusの塩分ストレスに対する抵抗性を高められる。しかし、結果は、これらの化合物が塩分濃度の悪影響を逆転させることも示した。このアプローチが有効であるかは、これらの生態学的要因が種の健康状態に及ぼす影響、特に生体内や他のストレスとの組み合わせについてさらなる研究が行われるかどうかにかかっている。
© 2024 The Authors. Published by Elsevier Inc. on behalf of Cell Stress Society International. Creative Commons Attribution 4.0 International License
(http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.cstres.2024.06.004
Zarei Sevda , et al.
Cell Stress & Chaperones, 2024; 29(4):552-566
doi:10.1016/j.cstres.2024.06.004

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