研究情報
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2025.03.31 サスティナブルな水生成
プロトタイプ蒸発装置で超高回収水量とブライン濃縮を実証: 廃液ゼロの海水淡水化を目指して
Demonstration of ultra-high-water recovery and brine concentration in a prototype evaporation unit: Towards zero liquid discharge desalination
水の利用可能性は、依然として国の持続可能な成長に影響を与える最も重要な要因の1つである。多くの国では、無尽蔵の水源である海に自由にアクセスできるが、この水源はそのままでは人間の目的には使用できない。この問題に対処するために、淡水生産のために海水淡水化が提唱されてきたが、塩水廃液が発生するために現実的な持続可能性の問題をはらんでいる。本研究では、高濃度の塩水でも安定的に作動するように設計され、塩水濃縮装置として運用される多重効用蒸留(MED)デモプラントの使用結果を示す。この目的に向けて、供給ストリームからの二価イオン除去によりスケールングリスクを最小化するナノろ過(NF)との統合が実施された。容量1.7m3/hの2-エフェクトMEDパイロットユニットは、ランペドゥーザ島(イタリア、シチリア島)の発電所の敷地内に、WATER-MININGプロジェクトの処理チェーンの一部として設置され、ディーゼルエンジンからの70〜80°Cの廃熱によって十分に動力化されている。蒸気温度を40〜50°Cにすることで、低温の廃熱源との完全な結合が可能になり、15〜25μs/cmの導電率を持つ蒸留水を製造できることが実証された。検討したいくつかの運転条件の中で80 % を超える回収率が達成され、しかも240 mS/cm の廃塩水の伝導率を生み出していて、これはNaCl の飽和に非常に近く、それゆえ 蒸発池での食品用海塩製造に優れていることとなる。今回初めて、廃熱が供給されたMEDユニットを塩水濃縮機として効率的に使用し、投入濃度の8倍以上の塩水濃縮をスケーリングの問題なく得ることができることをパイロットスケールで実証した。
© 2024 The Author(s). Published by Elsevier B.V. Creative Commons CC-BY license (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).
https://doi.org/10.1016/j.seppur.2024.129427
Scelfo Giuseppe , et al.
Separation and Purification Technology, 2025; 354(P8)
doi:10.1016/j.seppur.2024.129427

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